SUIHEI BLOG

水平思考でモノ作りヤロー

水平思考テク

水平思考のテクニックには幾つかある。

 

たとえば、次の5つとかをよく使う。

 

ひとつの物事につき30の見方をする

水平思考でアイデアを思いつくためには、セレンディピティの素材となる色々なストックが重要。

そこで、ひとつの物事を見たり聞いたり味わったり触ったり考えたりしたら、それを30の見方で見てみる。

スマホは筐体の中にコンピュータが入っているという見方も出来ますが、黒い器とガラス板の間に高速で動く紙芝居が入っていると見ることも出来ます。)

 

 

メタ認知

勝手に作っている思い込みや前提条件をピックアップし、前提から外してみる。

これはメタ認知の訓練が要るので難しいかも。

 

 

ブラックボックス・シンキング

今の状態を左側、理想の状態を右側に書いて、真ん中に?マークを書いた箱を書く。そしてその箱の中身を考える

 

 

先読み

先を読んで考える。今はまだ早くとも、次の波は大波かもしれない。大波を起こす震源地を探して、波が来そうな位置にポジションをとってみる

 

 

とにかく無駄を疑う

今は当たり前のようにやっていることでも、未来からすると無駄かもしれない。

(あなたは服を着ているけど、それは実は無駄なのでは…?)

直近の音楽業界の潮流を少し知って、メディア作るのも面白いかもと思った

※今回は水平思考じゃなくて、割と普通のアイデアの話※

 

あるエンタメ系プロジェクトに関わっているおかげで、最近は自分では拾えなかった領域、特に音楽業界の潮流についての情報が入ってくる。

 

昨日は、「チャンス・ザ・ラッパー」というアーティストについて教えてもらった。大まかにはこの記事にかいてあることを。

 

余談だけど同記事にあるように、米国の音楽産業の経済圏の内CDが占める割合はわずか16%。日本では未だCD文化が根強いけど、いくつかの先進国では既に過去の文化らしい。

 

さてチャンス・ザ・ラッパーだが、YouTubeSpotifySoundCloudなどのストリーミングで音楽を聴く人であれば、ほぼ100%知っているようなアーティストの模様。(自分は知らなかった)

 

彼のスタイルは、大雑把にまとめると下記のようなもの。

 

  • ストリーミング系サービスで認知を広げる
  • 興行やグッズ販売でマネタイズ
  • アーティストとしての価値が高まってきたタイミングで、独占先行配信権などでさらにビジネスを行う

 

レコード会社が介在していないどころか、音楽を売っていない。だけど人気。とても型破りだ。最先端感 is ある。

 

さてここで自分が気になったのは、ストリーミング上で人気アーティストになることは、チャンス・ザ・ラッパーの天才で成し得たことなのか、再現性がある=追随する人が出てこれるものなのかということ。

 

で、調べてみたら、どうやら再現性ありそうだなーと。

 

例えば、日本だとAmPmっていうアーティスト(というかプロジェクト。アーティストはYouTubeから起用してる)がある。

彼らについてはこの記事が参考になる。

 

素性は非公開だし、自分たちで音楽を作ってないし、販売もしていない。だけどSpotify米国バイラルチャート6位になった。

 

ストリーミング上でより大きく活躍するために彼らが述べているコツは下記のようなもの。

 

  • 音楽に強いプラットフォームに広告費を払ってプレイリストに載せてもらった
  • どれだけ多くのプレイリストに入るのかがポイント

 

他にも、Spotifyのプレイリストやミックスに載るためにGithubソースコードを分析して、どういう楽曲がフィーチャーされやすいのか仮説を立てて楽曲を作ったりもしたらしい。

 

(音楽好きの友人によれば「最初の曲は良かったけど、最近は聞いてないな」とのことだったけど…)

 

ともかく、かつてのCD文化のような、レコード会社が間に入った構造は転換されつつあって、クリエイター個人がいくつかのプラットフォームを使えば自らをエンパワーメントできる世界が訪れているらしい。テクノロジーって素晴らしい。

 

さてここからが本題。

 

上記の内、「おや? これってビジネスチャンスなのでは?」と思った箇所がある。

 

それは、AmPmのプレイリストについてのくだり。

 

あれは要約すると、下記のようになる。

「より多くのプレイリストに入れるかどうかで人気・伸びが変わるから、プレイリストに強い幾つかのプラットフォームに広告費を払って載せてもらった」

 

ちょっと調べてみると、似たようなことは他のアーティストも行っている模様。(もちろんこれが全てではないと思うけど。)

 

これって音楽メディアやプラットフォームの役割が、個々のアーティストにとって大きくなってきているということなんじゃないかと思う。

 

もちろんここで言うメディアやプラットフォームというのは、従来の囲い込み的戦術を行うWEBメディア・オウンドメディアのことではなくて、各ストリーミングサービスのプレイリストやそのアカウントのこと。

 

例えば、YouTubeで350万、Spotifyで35万のフォロワーを持つMajestic casualというドイツのメディアがその代表例。

 

つまりストリーミング音楽版分散型メディア。この領域は、チャンスなのではないだろうか?

 

ストリーミング音楽版NOWTHIS、ストリーミング音楽版BUZZFEED。そう考えるとなかなかイケそうな気がしている。

できることを増やすんじゃなくて、やることを減らすものづくり

昨日は一つプロトタイプを作った。

 

といっても新しいプロトタイプじゃなくて、既存サービスの改善案・コンセプト提案としてのプロトタイプだけど。

 

日々モノを作っていて思うのは、スゲー何かを作るとか人が出来ることを増やす何かを作るのとかって、人間の本質、いや生物の本質に反するよなということ。

 

生物の本質っていうのは、ズバリ怠惰のこと。

 

この根本的本質に沿ってモノを作っていきたい。

 

つまり、スゲー何かを作ったり出来ることを増やすためにモノを作るんじゃなくて、やることを減らす(それによって楽に・楽しくする)モノづくりを意識していこうと思う。

 

一見便利だけど機械に使われてあくせくする方向ではなく、人や社会が幸せになるものを作ることを目指していきたい。

 

写本を印刷に変えたグーテンベルグのように、あるいは、現像をポラロイドに変えたエドウィン・ハーバート・ランドのように。

 

そういうものづくりをやっていきたい。

水平思考の本を買った


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水平思考の訓練のために、いくつか本を買った。

 

買ったのは、

  • ずるい考え方 ゼロから始めるラテラルシンキング入門
  • 6つの帽子思考法
  • 思考力を鍛える30の習慣
  • ウミガメのスープ
  • 腕を送る男

 

『6つの帽子思考法』は、同著者デボノ氏の別著『水平思考の世界』に登場していたので購入。Six Thinking Hat は有名な会議フレームワークなので、ご存知の方もいるでしょうか。

 

あとの本は特に選定基準とかはなくて、Amazonの関連を端からいくつかカートに突っ込んだ感じ。

 

現在は『ずるい思考法』を読んでます。書いてある内容を実践したりして、少しずつ世界が違う風に見えてきている実感アリ。

 

1週間ほどで全部読めるといいな。

読後レビューとかもその内上げるかも。

水平思考を製品開発・サービス開発に活かす3つの要素

水平思考を知った人が水平思考を学ぶ目的は、その人によって違うと思う。体系だった形を帯びてもう数十年が経ち、色々な形で使われてきているからだ。中には、アイデアを生むためではなく水平思考そのものを目的とする用途もある。

 

これは特に書籍に多くて、例えば、"水平思考を鍛えるクイズ本"や、"ロジカルシンキングを超える思考法"という文脈の本、"賢くなるための思考法を身につける本"、といった具合。

 

そういったものが存在する背景には、水平思考が「問題(設問)」として試験科目然とした用途で使われたことがあるからだと思う。

 

"NASAにも導入されている地頭の良さを図る思考力問題"といった触れ込みで、学生インターンの試験として出題されるようなケースがそれ。

 

例えば、

「月面で遭難したとして、いま貴方は水と食料と銃を持っています。どうしますか?」みたいな、頭の柔らかさを問うような問題。

(ちなみにフェルミ推定問題とは異なる。あれは賢さを問うもの。)

 

実際自分も昔、学生インターンとして同じ問題を試験で出題されたことがある。

 

何が言いたいかというと、水平思考は現代において、アイデアの源泉というよりも「試験問題」あるいは「試験対策」のような文脈で登場するケースの方が多いということ。

 

どうも、いま企業で人事をやっている30代後半〜40代後半くらいの世代で流行った模様。最近はあまり認知無いけど。

 

あるいは、ライトノベルやゲームなどもあるようだ。最近も『ウミガメのスープ』という水平思考クイズアプリがリリースされている。(ちなみにウミガメのスープは、有名な水平思考問題及び書籍名。)

 

書籍やゲームといった別種類に見えるこれらは、「思考法としての水平思考の訓練」という言葉で一括りにできると思う。

 

でもこの「思考法としての訓練」というのは、それを完遂したとしても革新的なアイデアを導けるようには、多分ならない。

出来るようになるのは、与えられたテーマや材料を使って突飛なアイデアを思いつくことだけだ。

 

さて、ここからが本題。

 

水平思考を使って製品開発・サービス開発するためには、「思考法としての水平思考の訓練」を完遂するだけでは不足だと思う。その状態では、必要な要素のだいたい3分の1ほどしか身につけていないから。

 

というのも、今のところ自分は、水平思考を使ってモノづくりするために必要な要素は3つあると捉えている。

 

その3つとは、次の通り。

  1. 日常生活での体験
  2. 訓練された水平思考
  3. 技術の知識と経験

 

1の「日常生活での体験」とは、自分や周りの人・周りの事象・周りにある課題を発見すること。このために、常に観察を意識して日々を送る。電車の中でも、カフェの中でも、オフィスの中でも、友だちの家でも。

 

2の「訓練された水平思考」とは、前述したような書籍などで鍛えられたロジカルシンキングではない思考法。現実を疑う力、分解する力、置き換える力など。

 

3の「技術の知識と経験」とは、何らかのモノ作り知識。土木でも、製造業系でも、ITでも、何でもいい。ただ、数も種類も多い方がいい。

 

大まかな流れとしては、1でテーマ(人々の行動や課題)を見つけ、2でそのテーマを疑い、水平に分解し、置き換えれないか思考する。この時、分解の仕方や置き換え先の材料になるのが3。

 

なので毎日エスノグラフィーをやりながら、新しい技術を学んだり遊んだりしながら、本やクイズで水平思考も訓練する。

 

長ったらしくなったけどこのエントリは要するに、その決意表明ってわけだ。

 

水平思考でやるモノづくりプロジェクトをプライベートで緩く始めるという話。

数年前、ニコニコ動画である動画を見た。『朝まで!任天ちゃん』という動画だったと思う(多分今も残ってるはず)。

 

内容は、任天堂のモノづくりや他社との競争を、擬人化したキャラクターやイラストでコメディマンガ調に描いたファンメイク動画だ。

 

自分はこれが大好きで、未だ投稿されない続編(10話)を待ちわびているわけだけど、その動画の中で登場するあるキーワードがとてもよく頭に残っている。

 

それは、「枯れた技術の水平思考」という言葉。ゲーム&ウォッチゲームボーイなどを世に生み出し、花札の会社だった任天堂をゲームの会社に変えたアイデアマン・横井軍平の開発理念だ。

 

動画では、「枯れた技術(=十分に安くなった技術)を他の用途やアイデアに活用する」という概念及びモノづくり手法として登場する。

 

ゲーム&ウォッチの例で言えば、当時電卓戦争の余波で十分安くなっており供給過多になっていた早川電機(現シャープ)の液晶(それまでは高価だった)を、電卓ではなくゲーム機に利用した、というエピソードが枯れた技術の水平思考にあたる。

 

ちなみにゲーム&ウォッチのアイデアは、駅のホーム(新幹線の中だったかな)で電卓で遊ぶサラリーマンを見て思いついたらしい。

 

ホントかよって感じの面白い話。

だけど、今日はその話をメインでしたいわけじゃないので、ちょっと脇道に逸れよう。

 

今日の、というかこのブログ通しての本題は「枯れた技術の水平思考」の「水平思考」の部分だ。

 

横井のモノづくりでは、水平というのは使う用途を横にズラす、というイメージで語られるけど、実際はそこは表象でしかなく、肝じゃない。

 

何故なら、ズラす前の用途とズラした後の用途は、後から説明するのは簡単だけど、そのアイデアを思いつくまで用途のズラし方は現実として明示的なものではないから。

 

つまり、横井がゲーム&ウォッチを思いついたのには、蓋然性があった。偶然だけど偶然じゃなかった。それが本来の意味の水平思考の効能で、横井を生涯アイデアマンたらしめたものだと思う。

 

どういうことかというと、横井がゲーム&ウォッチを思いついたのは前述の通り電卓で遊ぶサラリーマンを見たからだけど、そのサラリーマンは駅のホームにいたわけで、横井だけがその人を見ていたわけじゃない。

だけど横井だけが液晶をゲーム(というかオモチャ)に使うことを思いついた。横井だけがコロンブスの卵を発見した。

 

これは、当時の横井にしか出来なかったことであり、しかし横井にしてみれば当然の帰結として出来たことだったと思う。

 

というのは、横井の置かれていた環境や性格による。

 

当時横井は、子どもの頃からのモノづくり趣味がきっかけで、ひょんなことから開発責任者(開発第一部 部長)を任されていた。

同部署では、次々に新しいおもちゃを開発していた(というかしなければいけなかった)。

そして任天堂は当時「光線銃SP」というおもちゃの開発を契機に早川電機と仲が良かった。横井ももちろんその内情をいくらか知っていた。

 

そして最後に、サラリーマンを目撃した。

 

つまり言いたいのは、横井が掴んだのは、一見偶然のように見える機会(チャンス)だったんじゃないかということ。

でもその機会は、彼以外には不可視のものでもあった。だから事情を知らない私たちからすると、偶然のようにしか見えない。またはとんでもないアイデアマンに映る。

 

これが水平思考の賜物だ。偶然(=不可視の機会)を可視のものにして掴めるようにする、それが「水平思考」の本質。

 

当ブログは、アイデアの源泉たるこの水平思考を使って何かモノづくりをしよう、というプライベートプロジェクトの、記録帳みたいなものだ。作った製品が当たったら会社にするかもしれないけど、まあそれまでの日記帳。

(名前も水平ブログにした。水平線モチーフのロゴはダジャレ。)

 

実際のところこのエントリーの本題はそれなんだけど、まあせっかく途中なので話を戻そう。

 

水平思考そのものは、横井軍平の提唱した概念じゃない。エドワード・デボノという、これまた凄まじいアイデアマンのイギリス人が作ったもの。著書もそのまま『水平思考の世界』というのがある。

同書の内容は次のエントリーあたりで書く。自分も水平思考の勉強中なので良い機会だ。

 

めちゃくちゃはしょって説明すると、訓練して人とは違う考え方(=ロジカルシンキングじゃない思考法)を身につけ、意識して色々なことをやったり時には放置したりして、アイデアの飛躍を待つというものだ。

 

率直に言って、○○思考とか名前がつくものの中でも、トップクラスに怪しく見えるものだと思う。(思考法なのに「偶然を待つ」とか平気で言っちゃってる。LSDの話も出てくるし、詐欺師の話も出てくる。)

でもデボノに言わせれば、その反応はロジカルシンキング(垂直思考)の限界の証でしかない(※デボノは垂直思考を否定しているわけではない)。

 

一つの物事に集中して分解してブレイクダウンしていくやり方とは全く違う思考法で、人間の思考回路の伝統的な作りにも反するので、訓練しなければ理解することが難しい。

つまり怪しい。あるいはすごいアイデアマンに見える。

 

説明になっているか分からないけれど、水平思考というのは、まあ大体そんなもの。偶然を機会にする、アイデアの源泉。

 

水平思考は別に新しい概念じゃないけど、今だからこそ見直す価値があるものだと思う。「今」というのはつまり、製品やサービスのコモディティ化が激しく、小型化やハイスペック化よりも独創的なものが生き残る時代のこと。

 

他人・他社と違う良いアイデアを生み出す思考法は、現代でこそもっと価値を発揮すると思う。個人としても、製品としても。

 

あと、自分の職業でよく使う思考法は顧客の課題を見つけるのは得意なんだけど、アイデアに飛躍させるところでいつも無力だったというのも、水平思考をちゃんとやろうかと思い至った理由の一つ。

 

横井やデボノになれるかどうかは分からないけど、良いアイデアを発見して実装・開発して世に送り出せるといいなと思う。

 

今はその端緒として、水平思考の学習・訓練をしつつ、水平のタネとなるのを機体して色々なことを勉強しながら、街中で毎日エスノグラフィをして課題発見を試みている感じ。

まだビビッと来たものは無いので、水平思考が足りてないんだろうな。頑張ります。

 

それでは、こんなエッセイめいたものを読んでくれてありがとう、そしてありがとう。

 

なお、このプロジェクトは完全に仕事とは関係無く匿名の形で、緩くやってくよ。たまに更新してるから、見つけたら生温く読んでってね。

 

それでは。