水平思考を製品開発・サービス開発に活かす3つの要素
水平思考を知った人が水平思考を学ぶ目的は、その人によって違うと思う。体系だった形を帯びてもう数十年が経ち、色々な形で使われてきているからだ。中には、アイデアを生むためではなく水平思考そのものを目的とする用途もある。
これは特に書籍に多くて、例えば、"水平思考を鍛えるクイズ本"や、"ロジカルシンキングを超える思考法"という文脈の本、"賢くなるための思考法を身につける本"、といった具合。
そういったものが存在する背景には、水平思考が「問題(設問)」として試験科目然とした用途で使われたことがあるからだと思う。
"NASAにも導入されている地頭の良さを図る思考力問題"といった触れ込みで、学生インターンの試験として出題されるようなケースがそれ。
例えば、
「月面で遭難したとして、いま貴方は水と食料と銃を持っています。どうしますか?」みたいな、頭の柔らかさを問うような問題。
(ちなみにフェルミ推定問題とは異なる。あれは賢さを問うもの。)
実際自分も昔、学生インターンとして同じ問題を試験で出題されたことがある。
何が言いたいかというと、水平思考は現代において、アイデアの源泉というよりも「試験問題」あるいは「試験対策」のような文脈で登場するケースの方が多いということ。
どうも、いま企業で人事をやっている30代後半〜40代後半くらいの世代で流行った模様。最近はあまり認知無いけど。
あるいは、ライトノベルやゲームなどもあるようだ。最近も『ウミガメのスープ』という水平思考クイズアプリがリリースされている。(ちなみにウミガメのスープは、有名な水平思考問題及び書籍名。)
書籍やゲームといった別種類に見えるこれらは、「思考法としての水平思考の訓練」という言葉で一括りにできると思う。
でもこの「思考法としての訓練」というのは、それを完遂したとしても革新的なアイデアを導けるようには、多分ならない。
出来るようになるのは、与えられたテーマや材料を使って突飛なアイデアを思いつくことだけだ。
さて、ここからが本題。
水平思考を使って製品開発・サービス開発するためには、「思考法としての水平思考の訓練」を完遂するだけでは不足だと思う。その状態では、必要な要素のだいたい3分の1ほどしか身につけていないから。
というのも、今のところ自分は、水平思考を使ってモノづくりするために必要な要素は3つあると捉えている。
その3つとは、次の通り。
- 日常生活での体験
- 訓練された水平思考
- 技術の知識と経験
1の「日常生活での体験」とは、自分や周りの人・周りの事象・周りにある課題を発見すること。このために、常に観察を意識して日々を送る。電車の中でも、カフェの中でも、オフィスの中でも、友だちの家でも。
2の「訓練された水平思考」とは、前述したような書籍などで鍛えられたロジカルシンキングではない思考法。現実を疑う力、分解する力、置き換える力など。
3の「技術の知識と経験」とは、何らかのモノ作り知識。土木でも、製造業系でも、ITでも、何でもいい。ただ、数も種類も多い方がいい。
大まかな流れとしては、1でテーマ(人々の行動や課題)を見つけ、2でそのテーマを疑い、水平に分解し、置き換えれないか思考する。この時、分解の仕方や置き換え先の材料になるのが3。
なので毎日エスノグラフィーをやりながら、新しい技術を学んだり遊んだりしながら、本やクイズで水平思考も訓練する。
長ったらしくなったけどこのエントリは要するに、その決意表明ってわけだ。